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◆アメリカ料理について◆:

アメリカの国土は日本の25倍。標準時性4種類。気候も、常春のサンフランシスコ、常夏のマイアミ。マイナスの気温が続く冬のニューヨーク。冬は寒く夏は暑い中央部。日本に比べ気候の厳しい地区も多数あります。そして世界中から人が集まる人種のるつぼ。
さらには経済大国であるアメリカ。
色々な人や物や環境が集まり、裕福なこの国の食文化はずばり
「保存の効く食材(冷凍食品、缶)を使ってスピーディに誰でも手軽にプロの味が作れる」
ことが主流のようです。もちろんそれぞれのルーツにより、食に対する価値観はかなり変わって来ます。

アメリカのルーツを大きくカトリックとプロテスタントの2つに分けてみます。

プロテスタントは契約社会、カトリックは地域社会といわれています。
食文化においては、カトリックの修道院では昔からビール、ワインやバター・チーズを作っていました。 反対にプロテスタントでは「美衣・美食よりももっと大切なものがあるはずだ」 という考えが主流になっています。

データーで追ってみる事にしましょう。フランス(プロテスタント2%、カトリック90%)、ドイツ(プロテスタント34%、カトリック31%)、イタリア(カトリック100%)、イギリス(英国国教会45%、ローマカトリック15%)、そしてアメリカ(プロテスタント56%,カトリック28%)。 アメリカは世界の中でも圧倒的にプロテスタントの多い国でもあります。

またアメリカの人種の内訳はヨーロッパ系71%,アフリカ系12%,ヒスパニック9% その他です。
このヨーロッパ系はイギリス、ドイツ、アイルランドが多くを占めています。
そしてゲルマンを主体とするドイツと アングロ・サクソン系を主体とするイギリス移民はプロテスタント。アイルランド系移民はカトリックです。

現在はたくさんのルーツが混じりあい、文化においてあまり大きな違いはありません。
しかし家庭料理の中に少しだけルーツが残ている場合があります。アフリカ系のソウルフード、ヒスパニック系のスペイン料理、中国系の中華、カトリック系の アイリッシュ料理他というように。

そして データーが物語る通り、典型的なアメリカ人は白人系プロテスタントということになります。

今から100年前のアメリカの開拓時代を描いた「大草原の小さな家」はカトリックを信仰するアイルランド系移民の家族のお話で、劇中、冬を乗り切るための保存食作りに、お手製のピクルスやジャムが好まれ、午後のティータイムではルバーブパイがテーブルに並べられました。 こちらのルーツを受け継がれたアメリカ人はお料理作りをこよなく愛します。また趣味でお料理作りが好きなアメリカ人もこよなくクッキングを愛します。

お料理をする人としない人が極端にわかれている国、それがアメリカの食文化事情です。
しない人は冷凍食品を解凍する、ケータリング、外食ですませる等、 包丁を使うことはあまりありません。
する人も、既製品を上手に使いながら、お料理作りにはげみます。




◆アメリカの代表的なお料理  大草原の小さな家編

 
   
コーンブレッド
「蜂蜜を塗ると飛び切り美味しい」
大草原の小さな家より
イエローコーンミールを使った
素朴な甘いパン

ルバーブパイ
爽やかな酸味のあるルバーブ
をしようしたパイ
ピクルス
野菜、きゅうり、たまねぎ、ビーツ
等を塩漬け発酵後、ビネガー、香辛
料で味付

Bean Soup
寒い冬の日にローラが好んだ
ビーンスープ。塩漬けの豚肉も
入っている

Oyster Soup
海の香りがする熱いミルクのスープ。
原文では小さなオイスタークッキー
も添えてある

ターキー 
感謝祭ではクランベリーソース
を添えて、中に詰め物をして
食べる。
   


◆アメリカの代表的なお料理  地方編

   
アーミッシュ地方のアップルパイ
自動車以前の電気のない生活を
頑固に暮らすアーミッシュの人々
馬車、黒い服、ひげ。
ルーツはスイス、アルザック、
ドイツ。伝統のアップルパ イは
包んで焼く

ボストンのクラムチャウダー
港町ではぐくまれたクラムチャウ
ダー。レストランには様々のクラ
ムチャーダーがあり、クラムチャ
ウダーコンテストがあるとか。
南部のフライドチキン
(ソウルフード)
ベーコンの油をストックして
フライドチキンの味付けに
使う。
ハワイのラウラウ
伝統料理。タロの葉に魚や肉を
包んで蒸す。
ニューオリンズのガンボスープ
(ソウルフード)
アフリカとフランスとアメリカの
港町が混じった味。小麦粉で作っ
たルーにオクラをいれ煮込む。
牡蠣やわたり蟹をいれるとニュー
オリンズのシーフードガンボに
インディアンのサコタッシュ
インディアンの秘伝がアメリカ
文化に マッチ 。トウモロコシ
とベビーライマ ービーンズ、
ベーコンを鍋で 煮込む。
   
   



◆アメリカの代表的なお料理  一般家庭編

   
チーズケーキ
日本でもお馴染み

グラハムクラッカー、サワーク
リーム、レモン、クリームチー
ズ等を用いた
ニューヨークスタイルと
クリームチーズ主流の
ベーシックがある

ジンシャーブレッドハウス
ジンシャークッキーを焼
いて工作感覚でお菓子
の家を作る
ピザ
ポピュラーな作り方は
ビスクイックとパン焼機
で生地を作る。
市販のピザソースをかける。
チーズはピザ用に味付
けされたものが売っている。(美味!)
サラミもピザ用にスライスされた
ものが売っている。
アップルパイ
アイスを添えるのがアメリカ流

ミートローフ
ドイツのハンブルグステー
キの変容型。 ハンバー
グとの違いは1時
間オ
ーブン で焼く

ハンバーガー
ドイツ移民が発祥のハンブル
グステーキから生まれた。
1927年に作られた漫画ポパイ
が広めたといわれている
 

ステーキ
ステーキ用のソースが
多種販売されている。
味の主流は酸味の
あるタイプか甘い醤
油タイプ

タコス
メキシコ風料理
挽肉をタコシーズニングでいためる。
シェルはハードと生タイプがある。
 
 



◆アメリカの代表的なお料理  ソウルフード編




アフリカン・アメリカン特有のお料理を総称してソウルフードと呼ぶ。料理の歴史は古く、ソウルフードという言葉の歴史は浅い。1960年代、黒人の公民権運動が盛んだった頃に生まれた。「ソウル」とは「元気づける」という意味からきている。

 NYハーレムのソウルフード・レストラン。着席と同時に運ばれてきたコーンブレッド。かすかに甘く柔らかい。付け合せはメニューの中から2品選べる。豆の煮込み、甘く煮込んだキャンディヤム、スモークハムと青菜カラードグリーンの炒め物、チーズグラタンのようにもってりとしたマカロニ&チーズ。これにメインのフライドチキンがくれば完璧だ。どれもあっさりした味わいの中にこくがある。日本人になつかしい感覚を呼び起こさせる料理ばかり。そして工夫により生み出されたユニークなお料理の数々。それがソウルフードだ。

ソウルフードのサンクスギビング。これもまたユニーク。サンクスギビングとは人種の境目をなくして食事を楽しもうとする多民族国家アメリカならではの祝日。国をあげて人種の境目をなくそうとしても食事はルーツにより変化をする。同じターキーでもプエルトリカンはクミンとにんにくをつかって焼き上げる。ヨーロピアン系はバターをたっぷりターキーに塗りこみ、クランベリーソースとセロリで味付けを。ソウルフードのターキーはコリアンダースパイス、たまねぎ、ステーキシーズニングにより作られるシーズニングでマリネする。

ユニークで美味しいお料理は、貧しかった時代。主人が食べ残した野菜の切れ端、肉の部位、配給によって配られるひきわりとうもろこしの粉、8ポンドの塩漬け豚肉。これらをアフリカ独特のスパイス、そして交流のあったインディアンから得た情報、現地で取れる食用のスパイスやハーブで味付けをして生また。またアメリカンアフリカンは読み書きが禁止されていたため、世代から世代へと口承でレシピが伝えられた。その伝統は今もアフリカン・アメリカンの中に息づいている。

コーンブレッド。豆料理の付け合せにぴったり。塩味と甘み味の2タイプがある。高価な小麦粉の入手が困難だったため支給物のトウモロコシの粉からパンを生み出した。

カラードグリーン。高菜に似た少し厚めの菜っ葉。別名アフリカキャベツもしくはスクマキャベツ。アフリカ原産で、アフリカではチキンやトマトとの煮込み料理等としても使われる。ソウルフードではポーク・チョップやスモークハムとの煮込み料理が有名。ほんのりビターテースト。クタクタと煮込んで使う。アフリカンアメリカンがアメリカに連れてこられた時ゴマ、オクラ等と一緒に種を持ち込んだ。

豆の煮物。ブラックビーンズやブラックアイビーンズ。白人がの食べ残した豚の内臓(ホルモン)と一緒に煮込んだり、スパイスや野菜の切れ端と一緒に煮込んだりして生まれたユニークなお料理が数々存在する。

マカロニ&チーズ。チェッダーチーズに牛乳で半グラタン状に仕上げオーブンで焼く。ソウルフードの定番中の定番。

スイートポテトパイ。アメリカンアフリカンの感謝祭はスイートポテトパイで締めくくられる。