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「楽しさがにじみでるようなお料理」

これは生活に潤いがないとできません。
それはお財布のことではなく、心や気持ちのこと。

レイカさんの持つハート、創造力、御主人やご家族、生徒さんや友人 周りの人たち。
彼女が生み出したお料理の背景を探しに、いざ心の旅に出かけてみましょう。


第四十九回 「ハンガリーから来た不思議の国のアリス-レイカ- 」 




レイカさんが日本にやってきたきっかけは
実はモロッコの電車に乗車したことからはじまります。

モロッコを旅していたレイカさんは次の目的地に行く切符を買い電車に乗りました。
隣の席に座っていた男性の口から、何かのきっかけで、ハンガリーの言葉が口からもれ、
彼も同じ国から来た人だと知りました。

それが今のレイカさんのご主人です。
今のご主人を生涯の伴侶と決めたエピソードと出会いをこんな風に語ってくれました。


「人に話すと、主人に知り合ったのは不思議というように思われますが、
初めて彼と出会った時、それは不思議なことではなく、むしろ自然な流れの出来事でした。

モロッコで偶然、わたされたチケットが、彼の隣の席でした。
ハンガリー語を聞いて、やっぱり隣の人はハンガリーの人だと分り、話をはじめました。

私たちは知り合ってから仲の良い友達になりました。

彼はその後、日本から奨学金をもらうことになり、日本へ渡りました。
当時、私はハンガリーの大学で勉強していたため、
その間、メールで連絡を保ちながら、時々ハンガリーへ戻って来る彼と会い続けました。

時を過ごすうちに、関係はだんだん友達から恋人同士に変化していきました。
彼は日本。
私はハンガリー。その後クウェートと移り住んでいたので、 遠距離恋愛はとても難しかったです。
別れて、別々で生活をすることを決意しました。

別れてから2年後、彼から連絡をもらって、色々を相談して、
過去は色々難しかったけれど 一緒にいたいと決めました。
そして私はハンガリーの大学を卒業して彼と 一緒に生活するために日本へ来ました。」







別れた二人はどうやって信頼関係を取り戻したのでしょう。
答えは実はシンプルなところにありました。


「過去で色々、難しいことや残念なことがあった後に何かを決めなければならない時。
私はいつも一番大切な事と人のことを考えて決めます。

そうすると難しいことでも、早く決められます。
私は子供の時から恋愛で信じてきました。
愛がないと感じたら男の人といつでも付き合うことはありませんでした。
それは意味がないことだと私は思います。

私にとって恋愛をできる人は世界で一人しかいないと思います。
この人と会うまでそれがどういうことか分かりませんでしたが、 偶然に彼と出会って、
私はとってもラッキーと思います。

恋愛ってがんばれることではなく、探せることでもないと思います。

全然ここだと思えない場所や時間に起こるので、気をつけないと多分チャンスがなくなります。

だからチャンスがあるといい決定をするは大切です。

そして長く考えるより心に従ったほうが良いと思います。
でも人間関係は知り合うだけでは難しくないと思います。
知り合ったら後に関係を守るのはもっと難しいと思います」

そう恋愛ってがんばるものじゃない。
生きていく自然の中で自然に寄り添いあえるもの。
突然、嵐が来たり、春が来たり。
恋愛にも四季があって、でも一緒なんだよね。





こうしてモロッコの電車の出会いを大切にはぐくみ、 日本にやってきたレイカさん。
まず東京の食文化の豊かさに驚きます。 東京で見かけた、
世界のいろいろな料理のレストランを見てこう考えたそうです。


「今まで住んでいた国の人々の中で日本人は一番料理が好き、
和食だけじゃなくて色々な国の食文化を知りたい人種なんだと思いました。
東京ではイタリア、フランス、ドイツなどのヨーロッパの食文化は広がっていましたが
私の故郷ハンガリーを含む東ヨーロッパの文化は
日本人にとってあまり知られていない場所だと感じました。

私自身料理が好きで、自分の国の食文化や料理などを
日本の皆さんに教えられたら興味を持ってくれるのでは と思い先生をしてみようとおもいました。

料理の先生の仕事を探していて友人がNiki's Kitchenのwebサイトを みつけてれて、
そしてスタートすることになりました。


しかし、はじめてみるとハンガリーのお料理を作ろうと思っても、日本では手に入らないものがあったり。
そしてやっと見つかったとおもっても、店で売っている商品がある時、なくなっていたり
季節によって材料の価格が変わっていたりして、苦労をしました。

けれど私にとっては、自分に国の料理、家族や専門学校で習ったお料理や作る方法を 皆さんに説明して、
新しい味を紹介していく仕事はとても魅力がありました。

15ヶ月の間、ハンガリー料理を教えながら皆さんからいただいた優しい言葉、
意見やアドバイスを わたしはとても大切にしています。

クラスで聞いた色々な面白い話やジョークもとても良い思い出です。

クラスで習った料理をお家でご家族に作って、写真を送ってもらえたことに、
いつも心が暖まりました。

外国で自分の国の料理や文化、歴史などを教えられと、とても良い感じでした。

この仕事は日本とハンガリーの関係を強める。日本人とハンガリー人の考え方に一層接近していると思います。
これは私にとってとても大切と思います。
皆さんと過ごした一時をどこに住んでも思い出すでしょうし、本当に良い記念になりました。」





そんなレイカ先生の心を支えていたのは家族との幼少のころの思い出。

「家族と別れて外国で住んでいると子供のころの家の雰囲気を良く思い出します。
父はいつも忙しく、医師の仕事で朝まで良く働いていました。
母も忙しく朝から夜まで働いて、 私は妹と弟と一緒に勉強して、晩御飯を作りました。

遅く帰ってくる父に母は夜中に色々なケーキやクッキーを作りました。
妹と弟は私より若いので寝ていました。
私はいつもキッチンにある暖炉の横に座って勉強していました。
母はケーキが出来上がると最初に私に味見をさせてくれました。
出来上がったばかりの、体を暖めるケーキを食べたら、勉強もしやすくなりました。
夜中の家のビル。皆が寝静まった頃。私たちのキッチンの窓だけが光を射していて
何だか不思議な世界を知っているとわたしは感じました。


ブダペストのことを思い出せば、ブダペストの古い建物やドナウ川橋のことを考えます。
私は散歩がとても好きなのでブダペストの道を何回も何時間も歩いてまわりました。
古い建物の間を散歩すると、町や国の歴史を感じれます。
カフェーに座って、夜のにぎやかなブダペストや歩いている人たちを見学するのは大好きです。

ハンガリー人は昔からアジアとヨーロッパの方の中継点。
途中の国なので色々な人種が一緒に暮らしてきました。
そのため、色々なことの考え方を勉強になりました。

ヨーロッパの人口のは戦争の前でも後でも 結構ミックスです。
色々な文化や宗教の人は一緒に住むと生活はもっと豊かになると思います。
教会の横にモスクシナゴーグを見ると心が喜びます。
色々な人の料理を食べ、音楽を聞いたら、考え方を分かったら、もっと柔軟態度が取れると思います。」





国際化がようやく進みつつある東京そして日本。
レイカさんはこう改革をしたら素晴らしくなると教えてくれました。 


「ハンガリーは、かならず道の名前が書いてあります。
これはどこの国の人が来ても 地図を見ながら歩きやすい場所です。
日本に来た時は、まだ日本語が分からなかったので、場所を人に聞くことができませんでした。
日本の多くは道に名前が表示されていません。困ったことが多かったです。
日本の道に名前をつけ、表示をすると、全ての人が、もっと楽になるでしょう。

日本で安全のための表現を良く聞きます。
安全は元々いいことと思いますが、時々安全のための色々なルールを人生を難しくすると思います。
たとえば家の近くにある公園で最近ローラースケートはだめになりました。
これは公園で遊んでいる皆さんの安全のためです。
でもローラースケートをしたい人は どうすればいいか分かりません。道でも危ないし、公園でもだめし。
そしてローレルスケートはそんなに危険じゃないと思いますが、こいうルールは日本で結構多いと思います。」




レイカさんは日本の素晴らしさをこう教えてくれました。


「実はこれもこれも安全です。すりや、車の窃盗などのことが日本であまり起きません。
カフェへ行って荷物を席に置いて、カウンターへ行っても安全です。これはとてもいいことと思います。

そして相撲の面白さです。
日本に来たとき、相撲のこと全然知りませんでしたが、一回見に行ってから、興味を持つようになりました 。
その後色々調べて、テレビで見始めました。
ルールと力士たちのことを分かるようになったら、 相撲がどんどん面白くなりました。

3年間ぐらい日本に住んでいたので、日本を出たら、色々なことを懐かしくなると思います。
また遊びに来ます。おすしを食べて、温泉に入って、相撲を見に行って、買い物をして。


そしてこの出来事もきっと思い出すでしょう。

東京はにぎやかな町で、自然は少ない場所です。
ところがある日、家の階段の下から 何かジャンプをした音がしました。
猫だと思いましたがビルを出ると猫じゃなくて、大きい黒いウサギを見つけました。
わたしは動けないくらいびっくりしました。
ウサギと1−2分ぐらい睨めっこをしました。
ずっと本当のウサギを見たことを信じられませんでした。
東京で住んでいるレーカではなくて、不思議の国のアリスみたいに感じました。
最後にウサギは走り去りました。」





最後にわたし、レイカの一番大好きなお料理をご紹介します。

「私が皆さんに教えてきたお料理の中で、サワーチェリースープが一番思い入れのあるお料理です。
果物のスープってやっぱりハンガリー的なお料理です。
果物の甘くてすっぱい味のスープはいつも心を暖めてくれると感じています。
他の国にはであまりないので、ハンガリーを出ると、このスープの味はいつも懐かしく感じます。
日本でもそうでした。日本ではサワーチェリーがあまりないし、果物のスープは珍しいので、
料理教室で日本人に私の宝物のスープの作り方を教えられるとすごく嬉しかった。
素晴らしい時間をどうもありがとうございました。」

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Meggyleves
(メッジュレベシュ)
サワーチェリースープ

材料 (6人前)

●サワーチェリー 1瓶または1缶

●桃か他の果物の缶詰 1缶

●お砂糖 大さじ2−3
●シナモン 1本 (ハンガリー語でFahej)

●クローブ(ハンガリー語でSzegfuszeg)5−8個

●カルダモン 1個

●レモンの皮 適量
●お水 900ml
●サワークリーム 大さじ1
●生クリーム 300ml
●小麦粉 大さじ4

作り方

1.鍋にサワーチェリー、サワーチェリーの瓶の汁、桃、レモンの皮、クローブ、シナモン、お砂糖とお水を入れ、一緒に煮ます。

2.一煮立ちしたら、15分ぐらいさらに煮込みます。

3.その間に生クリーム 、サーワークリームと小麦粉を混ぜ合わせ「ホイップミックス」をつくります。

4.果物が煮上がったら、スープからスパイスを取り出します。

5.ホイップミックスをスープに少しずつ入れ、混ぜます。

6.そして最後に一度煮立たせます。

冬場は温めて、夏のは冷やして。
メインディッシュの前にいただきます。

エッセイストの紹介
インタビュー:レイカ