マンサフは、「大きなお皿」という意味が名前の由来で、パレスチナのお祝いの席では、大皿に豪華で豪快な料理を盛り付けて楽しむ習慣があります。この料理は、砂漠の遊牧民ベドウィンの伝統から来ており、乾燥ヨーグルトのジャミードで煮た羊肉をスパイスやナッツが香るご飯の上に盛り付け、薄いパンのサージブレッドと一緒に食べるのが特徴です。遊牧民たちは水平線が広がる砂漠の中で、皆で大皿を囲んでおもてなしを楽しみます。

マンサフを振る舞うことは、「気前の良さ」を示し、結婚式お祭など、さまざまな記念日に登場します。食べ方も独特で、左手を背中に回し、右手だけで直接大皿から料理を取って食べます。今回のイベントでは、マンサフ以外の料理も提供されますが、本来はマンサフだけを食べるのが伝統です。
ぜひ、パレスチナの食文化を楽しみながら、マンサフをお試しください。

Mansaf(lamb, rice, saj bread)

● ラム肉の乾燥ヨーグルト煮込みとスパイスごはん「マンサフ」

ジャミードと呼ばれるチーズの原型でラム肉を煮込むお料理です。ジャミードは、ヨーグルトを固く乾燥させ、発酵させた遊牧民の知恵の結晶です。ラム肉のほのかな甘みとミルクの香りが、塩味のあるヨーグルトと組み合わさって味わい深く広がります。ここで、料理人の技術がラム肉の美味しさを引き出すかどうかが分かれ道です。サージブレッド、スパイスの効いたご飯、ナッツ、そしてラム肉の煮込みと煮汁を重ねた豪華なお祝いのメイン料理は、混ぜ方によって一口ごとに異なる味わいが楽しめます。

Jameed

● ジャミード

今回は、羊のミルクを乾燥・発酵させた塩味の強いヨーグルトやチーズを紹介します。遊牧民が保存食として開発したため、非常に固く、ハンマーで割って使用します。現在は、使いやすい液体タイプのジャミードも市販されています。このジャミードは、マンサフにかけてお楽しみいただけます。

<実物>

Saj bread

● サージブレッド

平たいパン、フラットブレッドです。ピタパンのようですが、もっと薄くて大きく、発酵させずに作ります。中華鍋をひっくり返したようなドーム状の鉄板で焼くサージブレッドはパレスチナ近辺からアラビア半島でも見られ、パンの原型に近いものでしょう。ごはんにも合わせるところがユニークで、マンサフのごはんの下に敷き、ごはんやお肉と一緒に食べます。

Daqa
●④マンサフ用青唐辛子ソース「ダクァ」
ピリッとした辛さが食欲を増進。中東では生唐辛子をかじってよく食べます。じんわりくるこのソースはマンサフの良いエッセンスに。

「パレスチナ地域は古代からオリーブを栽培しており、オリーブオイルを使った料理はとても多いんですよ。」そこで、ヨーグルトとオリーブを使った伝統料理を2品ご紹介いたします。

これらの料理はヨーグルトとオリーブ、そしてオリーブオイルをふんだんに使っており、パレスチナ地域の食文化を象徴しています。ぜひ、これらの料理を試して、パレスチナの風味をお楽しみください。

ところでオリーブオイルとは本来、オリーブの実を潰して絞り油を抽出しただけの「オリーブのジュース」のようなものです。一般的な油と違い、搾油方法によって品質が変わります。現代では効率化・ローコスト化を求める関係で、早く潰し、多くの油を搾ることが重視されますが、これは熱や化学処理による酸化やトランス脂肪酸の付加が懸念されています。かつては写真のように石臼でゆっくり時間をかけて搾油されていました。ただこの方法は衛生面の維持管理が困難です。現在は専用の機械を使いゆっくりプレスする方法が一般的となっています。

JibuJibu
●⑤ジブジブ
ジブジブは、ヨーグルトボールをオリーブオイルに漬け込んで作られる美味しい料理です。異なるスパイスを加えることで、さまざまな味わいが楽しめます。オリーブオイルに浸されたヨーグルトボールは、宝石のように美しく輝いています。

Kunafa

●⑦ クナフェ

クナフェは、中東のお菓子で、エンジェルパスタのようなパリパリの細い生地の間にチーズが挟まれています。国によっては微妙に違いがありますが、チーズやクリームなどを細麺の生地で巻いて、シロップをかけた甘く濃厚なデザートです。一口食べると甘さに驚くものの、何故かまた食べたくなる魅力的なスイーツです。ぜひ、パレスチナスタイルのクナフェをご体験ください

Welcome drink and Arabic coffee 

● ウェルカムドリンクとアラビックコーヒー