シュリンプレムラード（2種類のレムラードの物語）

レムラードはフランス生まれのソースで、シーフードとの相性が抜群。今回は、風味がしっかりと感じられる2種類のレムラードソースを作ってみましょう。まずは、マスタードの辛みと香りを存分に生かした、伝統的なレムラード。もうひとつは、オイルとマスタードを組み合わせることで、軽やかな後味が魅力のレムラードです。

この2種類のレムラードを、ぷりぷりの海老がたっぷりのシーフードプラターに添えると、コク深いソースと海老の甘みが絶妙にマッチして、おいしさもワクワク感も倍増します。それぞれのソースが持つ個性的な味わいを、じっくり比べてみてください。

作ったソースは、ポップコーンシュリンプやマックチーズフライ、クラブケーキといった揚げもののディップにも大活躍。サッと添えるだけで、一気にリッチな雰囲気の一皿に早変わりするはずです。

ニューオリンズの牛肉のグリヤードとグリッツ

料理人として旅をするのが大好きな私は、ニューオリンズで初めて口にした牛肉のグリヤードとグリッツの味わいを、今でもはっきりと思い出します。ジャズのリズムに包まれたあの街角で、ホロホロに煮込まれた牛肉の深い香りと、チーズたっぷりのクリーミーなグリッツが出会う瞬間は、何ものにも代えがたい至福の時間でした。

帰国してからも、どうしてもあの味が忘れられず、試行錯誤を重ねて再現に挑戦しています。まず牛肉はフライパンでこんがり焼き付け、ビーフブロスと香味野菜、トマトでじっくりコトコト煮込むのがポイント。煮汁の香りが立ちのぼるたびに、ニューオリンズの熱気に満ちた夜を思い出さずにはいられません。

一方のグリッツは、コーンミールをなめらかになるまでかき混ぜ、チーズを惜しみなく加えて仕上げると、口当たりがぐんとリッチになります。こうして完成した一皿を味わうとき、あの街の喧騒とジャズが、ふたたび私の心を踊らせてくれるのです。

コマンダーズパレスのパンプディング・スフレ、バーボンソース

ニューオーリンズを訪れるなら、1883年創業という長い歴史を持つ高級レストラン「コマンダーズパレス」は絶対に外せません。もともと大邸宅だった建物をリノベーションしただけあって、クラシカルで趣のある空間が広がり、古き良き時代を感じさせてくれます。ここでぜひ試していただきたいのが、名物のデザート「パンプディング」。

一般的には、カスタード液をたっぷり吸い込ませたパンをオーブンでしっとり焼き上げる家庭的なスイーツを想像するかもしれません。しかし、コマンダーズパレスのパンプディングはひと味違います。メレンゲを加えて仕上げることで、まるでスフレのようにふんわりと膨らみ、口に運べば軽やかな食感が広がるのです。

さらに、焼き上がったばかりのアツアツのパンプディングに、とろりとしたバーボンソースを惜しみなくかければ、甘く芳醇な香りがいっそう際立ちます。ふわりと立ちのぼるバニラの香りも相まって、一口ごとに幸せが口の中に広がっていくのを感じることでしょう。スフレのように繊細な生地は、時間が経つとしぼんでしまうため、できたてを味わうのが最大の醍醐味。クラシカルな雰囲気の中でいただく特別な一皿を、ぜひご自身の舌で確かめてみてください。

● Wine
（ワイン）
ワインをご用意します。 (写真は参考）

●Coffee
（コーヒー）