ニキズキッチン 外国人を中心とした自宅で習う料理教室
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浅草に住むサーらです。
私は、クウェートでエジプト人の両親のもとに育った。
『食事』がどんな意味を持つのかを考えるきっかけになったのはここでの暮らしだ。
きっとそれは、食べることがただお腹を満たすだけの行為じゃなく、
愛や癒し、そして自分のルーツがぎゅっと詰まった時間を味わうことだったんだと思う。
そんなふうにして過ごしてきた毎日の中に、
大切なものがたくさん隠れていたことに気づく。
看護師だった母は、朝の4時に起きて、まずは自分の心を整えてから、
キッチンを整えて、それから仕事に行く。
そして帰ってきたら、朝ごはんも昼ごはんも晩ごはんも、
ちゃんと手作りしてくれる。
外食なんて、考えたこともなかった。
お皿の上には、エジプトの伝統がある。
でもそれだけじゃなくて、クウェートで出会った
アラブ、インド、西洋、いろんな文化が顔を出している。
母がキッチンで作っていたのは、ただのエジプト料理じゃなかった。
レバノンの味、パレスチナの香り、モロッコの彩り。
フランスのグラタンや、イタリアのパスタだって並んだ。
料理っていうのは、ただお腹を満たすものじゃなくて、
人をつなぐ「言葉」なんだって、母から学んだ。
病気のときは、母のスープが特効薬だった。
「子どもたちのお茶」って母が呼んでたハーブティーが、
からだを温めてくれた。
そして、心を満たしてくれた。
スープの湯気と、ティーカップの香り。
そこにあるのは、母の手と、母の愛と、母の物語だった。
食べ物っていうのは、ただ食べるだけのものじゃない。
それを囲む人と、その背後にある記憶が、
じんわりと、胸にしみるものなんだ。
そうやって、私は学んだ気がする。
だから、この思いを料理を通して、たくさんの人に伝えていきたい。
一緒に作って、一緒に食べて、
その時間が誰かの心にそっと残るものになればいいなと思う。
2024/12
(サーラ)エジプト料理の美食旅へようこそ ■講師自宅