高田馬場　英語でのクラスです。

ロレーヌとアルザスの1月、静かな雪景色に包まれる新年の始まりは、どこか特別な温かさを感じさせます。家々の暖炉の煙が空に昇り、石造りの村には、クリスマスの余韻がまだほのかに漂っています。そんな冬の祝祭の風景が、食卓に広がる料理一皿一皿に宿っています。

たとえば、キッシュ・ロレーヌ。卵のフィリングとほろりと香るベーコンの塩味は、ロレーヌ地方の優しさそのものです。外は冷たい雪景色でも、焼きたてのキッシュが運ぶ温もりが、家族や友人との団らんをより一層心地よいものにしてくれるでしょう。

アルザス風ホットワインの湯気には、シナモンやクローブの香りが立ち上り、寒さに凍える手を優しく包み込みます。アルザスのクリスマスマーケットで振る舞われるこの温かい飲み物は、新しい年への希望をともにするような特別な一杯です。

ガレット・デ・ロワがテーブルに登場すると、家族の笑顔が一層明るくなります。誰がフェーヴを引き当てて王冠をかぶるのか――そのひとときの楽しさが、新年の風景に欠かせないアクセントとなります。

そして、シュークルート。豊かな香りを放つザワークラウトと肉の旨味が絡み合うこの料理は、寒い冬を過ごすための知恵と恵みの象徴。アルザス地方の伝統を象徴する一皿は、新年の幸運と繁栄を願う祝宴にぴったりです。

雪の降り積もるロレーヌとアルザスの1月。静かな冬の風景の中で、これらの料理は新年を祝う温かさと優しさを運び、食卓に広がるフランスの物語を語りかけてくれます。

Apéritif Français : スパークリングワイン (Vin pétillant)
窓辺には冬の薄い光が差し込み、揺れる泡がグラスの中で小さな物語を紡いでいます。「これを飲むと、心がほぐれるね」とピエールは笑います。キッチンで始まる食事には、いつもこんな一杯のワインが欠かせません。酸味と甘味の絶妙なバランスが、食卓にゆったりとした空気をもたらします。

⚫前菜：キッシュ・ロレーヌ (Quiche Lorraine)
「ロレーヌの人は、お日さまみたいなキッシュを焼くのが得意なんだよ」とピエールは言います。まな板の上でバターをこねる手が動き、キッチン中に香ばしい香りが広がります。ロレーヌ地方の豊かな畑から取れたバターで練り上げた生地は、彼の手で丁寧に型に敷かれていきます。

その間、クリームと卵を混ぜる音が静かに響きます。ベーコンを切る音、にんにくを刻む音――キッチンはまるでひとつのオーケストラのようです。焼き上がる頃には、「ほら、この匂い！」とピエールの目が輝きます。一切れを口に運ぶと、サクサクの生地と、濃厚でクリーミーなフィリングが広がり、その奥にはロレーヌ地方ののどかな風景が浮かび上がるようです。

⚫メインディッシュ：シュークルート (Choucroute)
シュークルートの準備をしながらピエールが言います。「これは隣のアルザスから来た料理だよ。でもロレーヌの家でも、冬にはこれを作るのが楽しみなんだ。」彼は鍋を火にかけ、酸味の効いたザワークラウトをゆっくりと煮込み始めます。そこにじっくり燻製されたソーセージやベーコンが加わり、キャベツの酸味と肉の旨味が絡み合う香りがキッチンいっぱいに広がります。「今日は白ワインを使うけど、たまには赤ワインで煮込むのも好きだね」と、家族だけの小さな秘密を教えてくれます。

鍋の中でゆっくりと煮込まれたキャベツは、まるで長い間眠っていた味わいを解き放つよう。ピエールが大皿に盛り付けるとき、「ほら、食べて」とその声に温もりが滲みます。一口頬張るたびに、冬の寒さを忘れるような優しさが体中を巡ります。

⚫デザート：ガレット・デ・ロワ アルザス風 (Galette des Rois alsacienne)
アルザス風のガレット・デ・ロワは、フランス全土で見られるガレット・デ・ロワとは異なる独自の魅力があります。楽しみにしていてくださいね
「このお菓子には、幸せが隠れているんだよ」とピエールが微笑みます。何層にも重ねられたパイ生地を丁寧に仕上げ、中にはロレーヌ地方のアーモンド畑で育った甘いナッツのクリームを詰めます。彼の手元には、陶器でできた小さなフェーヴ（幸運のお守り）が控えています。「誰が見つけるか、楽しみだね」と彼はクリームの中にそれを忍ばせます。

焼き上がりを待つ間、オーブンから漂うバターの香りがキッチンを満たします。焼きたてを切り分けるとき、人々の笑い声がテーブルを囲みます。フェーヴを引き当てた人は、小さな紙の王冠をかぶって誇らしげ。「今年もみんなで幸せだね」と、ピエールが柔らかく笑いました。

⚫食中のドリンク：ホットワイン (Vin rouge chaud)
「寒い夜には、これがいいのさ」とピエールが鍋で赤ワインを温めます。シナモン、クローブ、オレンジの皮を加えて、キッチン中にスパイスの香りを漂わせます。湯気の立つグラスを手に取り、暖かさが体に広がるのを感じると、「これで、冬も悪くないね」と心が少し軽くなります。

Mineral water
⚫ミネラルウォーター