エジプトには、春の訪れを祝う「シャム・エル・ネスィーム（Sham El-Nessim）」という、誰もが楽しみにしている祝日があります。家族や友人と公園や川辺でピクニックをしながら春の空気を楽しむ、まさに“エジプト版お花見”のような日です。

今回のクラスでは、そんな春祭りの雰囲気を再現！ 海辺の市場の香りやにぎわいをイメージした、春らしい魚料理や発酵の知恵を活かしたサラダ、そして古代から続くお祝いクッキー「カフク」など、五感で楽しむ特別メニューをご用意しました。

◆ エジプト風キャビアサラダ
「サラダ」と言いつつも、スプーンですくって楽しむクリーミーな食感が特徴。魚卵のコクと旨味を活かしながら、レモンの酸味が爽やかに広がり、あとひくおいしさを生み出します。パンにのせるだけで、ちょっぴり贅沢な一品に。お酒のお供にもぴったりです。

◆ 発酵魚のサラダ（日本の酒盗を使ったフェシーク風サラダ）

フェッシーフは、エジプトの伝統的な発酵魚料理で、塩漬けにしたムレット（mullet）とい魚を何週間もかけて発酵させた保存食です。
古代エジプト時代からの食文化で、春祭り「シャム・エル・ネスィーム（Sham El-Nessim）」の際に食べるのが一般的。
日本の塩辛「酒盗」に味わいが似ているため、これを代用にしてつくってみます。
この旨味こそが魅力。野菜と和えてレモンやオリーブオイルで仕上げれば、驚くほどさっぱりとした味わいに変身します。初めての方でも、気づけばついつい手が伸びてしまう、不思議な魅力を秘めた一皿です。

◆ 焼き魚（サバまたはタイ）とパプリカ＆ニンジン
エジプトの港町で味わう、焼き魚の香りとスパイスの刺激を再現。すりおろした人参や香り豊かな赤いソースをたっぷり塗り込み、刻んだ野菜とハーブを乗せてじっくり焼くことで、魚の旨味を余すことなく引き出します。最後に加えるひと手間でパリッとした食感が増し、ご飯にもパンにも相性抜群。食卓が一気にエキゾチックな雰囲気に包まれます。

◆ サイヤディーヤライス（エジプト風　魚専用スパイス炊き込みご飯）
炊き込みご飯と侮るなかれ。玉ねぎをじっくり炒めることで生まれる甘さと、とけ込むようなスパイスの香りが、米一粒一粒に深い味わいを与えます。魚料理と合わせれば文句なしのペアリングですが、そのままでも十分に満足できるボリューム感。食卓をリッチに彩る名脇役です。

◆ デザート：レタスのバニラアイスクリーム添え
「レタスをデザートに？」と驚く方も多いはず。ですが、古代エジプトで特別な食材とされていた神聖なレタスを使った驚きの一品。アイス＆オリーブオイル＆はちみつの新体験。

◆エジプト文化講座
エジプトの伝統クッキー「カフク（Kahk）」は、実は古代エジプト時代から存在していたと言われています。クラスではこのお菓子の歴史についてお話しします　（手作りしたカフクのお土産付）
寺院の壁画に描かれたり、王の墓に来世へのお供え物として入れられていたほど、大切にされていたお菓子なんです。

丸い形に粉砂糖がたっぷりかかったこのクッキーは、セモリナ粉や小麦粉で作る生地に、ナッツやデーツ、甘いアガメイヤ（はちみつ＋ギー＋ゴマ）を包んで焼き上げます。見た目はシンプルですが、ひとつひとつ手作業で成形し、模様をつけて、ちょうどいいホロホロ感に焼き上げるには技術と時間が必要。まさに“手間がごちそう”なお菓子です。

ラマダン明けの「イード」の時期には家族総出で作るのが伝統で、現代のエジプトでも家庭やベーカリーで大活躍しています。

日本の和菓子にも少し似ていて、季節の行事に寄り添い、繊細な形や工程を大切にする点も共通しています。
味はまったく違いますが、どちらも“文化を食べる”ような、奥深い魅力のあるお菓子です。

◆ハーブティー
母から教わった特別なレシピのハーブティーをお出しします。いろいろな変わりが付き合っていてとっても優雅な気持ちにさせてくれます。