NHKスペイン語講座の先生のクラスです。
スペイン東部の名物パン「コカ」は、生地がふわっと軽く、いろいろな味を楽しめるのが魅力です。
カタルーニャ地方では特に人気で、甘いものや塩味のものなど種類もたくさんあります。
今回は、赤と緑がきれいな「ピメントとツナのコカ」を作ります。

そして、今回は “スペインの牛肉文化” にも触れていきます。
スペインでは牛肉をじっくり煮込んで柔らかく仕上げる料理が多く、地方ごとに独自のスタイルがあります。

特にシェリー酒で煮込む「カルネ・メチャーダ」は、南部アンダルシア地方を代表する一皿。

煮込みの香りと旨みが肉の線維にしっかり染み込み、スペインらしい深い味わいを生み出します。

コカの軽やかさと、牛肉料理の力強く豊かな味わい。
この2つを組み合わせることで、スペインの食文化の幅広さを存分に楽しんでいただける内容になっています。

●エンサラダルーサ
実はこのサラダはスペイン語で「ロシア風サラダ」。
モスクワのホテル・レストラン「エルミタージュ」でシェフを務めたフランス人リュシアン・オリヴィエによって考案された「オリヴィエ・サラダ」 がスペイン風にかわったものです。
「オリヴィエ・サラダ」はトルコ、イラン、セルビアそしてスペインと広がっていきました。
当時の爆発的ヒットぶりが想像できる現象です。
もちろんまったくレシピは同じではなく各地域で馴染みやすい味や食材に変わっていきます。
スペイン版も楽しんでみましょう。



●ピメントとツナの塩味のコカ

スペイン東部で生まれ、バルから本格レストランまで幅広く愛されている郷土パン「コカ」。
生地には上質なオリーブオイルがしっかりと練り込まれ、噛むほどに旨みが広がるのが特徴です。
パン職人が丁寧に仕上げる生地のように、外は香ばしく、中はふんわりとした食感が楽しめます。

コカにはさまざまな種類がありますが、塩味の定番と言えば 赤ピーマンとツナ の組み合わせ。
色鮮やかな赤と輝くオリーブオイルが、まるで太陽のような美しさで、焼き上がりの姿には思わず心が躍ります。

よく冷えたワインと一緒に味わえば、まるでスペインのバルにいるかのようなひとときを楽しめます。

●カルネ・メチャーダ
牛肉をシェリー酒で煮込んでいくスペインの代表的な郷土料理。 シェリー酒の入ったスープを染み込ませた牛肉はとても柔らかく口の中で溶けていくような感覚です。
スペインの小さな町、ヘレス周辺で造られたシェリー酒はスペイン語ではビノ・デ・ヘレス（Vino de Jerez(Xerez)）。 料理に少し加えるだけで味わいがぐっと深まり豊かなコクが生まれます。



●ガルバンソ・コン・エスピナカス

寒さが深まる季節、日本でもホウレン草がいちばんおいしくなる時期ですよね。

スペインでも同じく、秋から冬にかけての限られた時期だけ、根付きのホウレン草が八百屋に並びます。

新鮮で生命力あふれるホウレン草は、この季節ならではのごちそうです。

そのホウレン草とひよこ豆を一緒に煮込んだ「ガルバンソ・コン・エスピナカス」は、バルでも家庭でも愛されている定番料理。
とろりとしたひよこ豆にホウレン草の優しい甘みが加わり、素朴ながら心が温まる味わいです。

見た目の色合いも美しく、パンと合わせるだけで、気軽にスペインの朝食のような一皿が楽しめます。

●巡礼地のお菓子メンブリージョのチーズケーキ

マルメロ（西洋カリン）をじっくり煮詰めて作る甘いジャム「メンブリージョ（マルト・メンブリージョ）」を使った、スペインを代表するチーズケーキです。
メンブリージョは固めの羊羹のような質感になり、フルーツの風味がぎゅっと凝縮されているのが特徴。チーズとの相性が驚くほどよく、スペインでは伝統的な組み合わせとして親しまれています。

巡礼者が集う宿では、「メンブリージョ」「チーズ」「ワイン」をセットにしたおもてなしが定番。
この3つが出揃うと、それぞれの甘み・塩味・酸味が美しく重なり合い、最高のマリアージュを楽しむことができます。

今回のチーズケーキでは、そのスペインらしい味わいをデザートとして再現します。

●ワインとコーヒーや紅茶とウェルカムドリンク