料理映画:A FILM ABOUT COFFEE 

 


 

<映画紹介>
世界に広まりつつあるコーヒーのサードウェーブ
理解することでコーヒーはもっと美味しくなる

A FILM ABOUT COFFEE
新宿シネマカリテにて公開中。全国でも順次公開。
http://www.afilmaboutcoffee.jp/

text/キヌガサマサヨシ(夏休み計画)



コーヒー好きによる、コーヒー好きのための、コーヒーにまつわるドキュメンタリーム
ービー『A FILM ABOUT COFFEE』が公開されています。


あなたが最初に飲んだのはどんなコーヒーでしたか? インスタントや缶コーヒー、コーヒー牛乳は除いて、最初に飲んだコーヒーを思い出してみてください。



コーヒーには大きな3つの波があると言われています。僕の最初のコーヒーは、当時「アメリカン」と呼ばれた薄いコーヒーでした。これはコーヒーが大量に飲まれるようになったファーストウェーブ時代のコーヒーです。その後、スターバックスによって世界的なブームとなったのが深煎りのイタリアンロースト豆を使ったエスプレッソやラテのセカンドウェーブ。そして、厳選した豆を使い、その豆の持ち味を生かすように浅煎りで仕上げ、ハンドドリップで淹れるのが、現在注目されているサードウェーブです。はじめて飲んだコーヒーは、どのウェーブの時代に育ったかで明確に違いが出るはずです。




この映画では、それぞれのウェーブのコーヒーの特徴を詳細にわかりやすく紹介しています。とくに現在のサードウェーブについては、ニューヨーク、サンフランシスコ、ポートランド、シアトル、東京で活躍するコーヒー界を牽引するスペシャリストたちを取材しているのが興味深い所です。



そのサードウェーブで注目される「ブルーボトルコーヒー」の創始者であるジェームス・フリーマン氏は、日本の喫茶店に強い影響を受けたと語っています。そしてその代表として、いまはなき表参道の「大坊珈琲店」が紹介されているのは、日本人としてうれしいことです。ネルドリップで一杯ずつ丁寧にコーヒーを淹れる元店主の大坊勝次氏の動きは、アメリカ人のフリーマン氏の目には茶道の所作のように映ったのかもしれません。

また、コーヒーのウェーブには、飲み方や味の嗜好の変遷だけでなく、農産物としてのコーヒー豆の流通の変化が大きく関わっていることも知る事が出来ます。かつてのファーストウェーブの時代には、商社がコーヒーベルト地帯にかかる国々で、豆を安価で大量に買いまくっていました。その後、フェアトレードが広まり、今はさらに一歩踏み込んで、農園とともにいい豆を育てて直接仕入れるダイレクト・トレードが増えつつあります。



映画の中には、南米のコーヒー農園の人々がはじめてエスプレッソを飲むというシーンがあります。彼らにとってコーヒー豆は生活を支えるための大切な商品であったため、自分たちはもっと安価で手に入るお茶を飲んできたのだと言います。そんな人々が、自分たちが育てた豆で作られたエスプレッソやカプチーノを口にして、こんな味だったんだね、と嬉しそうに微笑む顔は、じつに印象的です。



中間業者を介さないダイレクト・トレードが可能になれば、コーヒー豆の生産者は労働に見合った対価を得ることができるようになります。搾取のような安い価格で買い叩かれていた時にはワーキングプアだった農作業が、プライドを持てる仕事になるのです。



スペシャルティな豆がどのように作られて、どんなふうに加工されて、どうやって香り高い特別な飲み物になるのか。知れば知るほどコーヒーへの愛情が深まって、さらに美味しく感じられることでしょう。

監督:ブランドン・ローパー
制作:2014年 アメリカ 66分
配給:メジロフィルムズ
© 2014 Avocados and Coconuts.

 
 



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