料理映画:恋するシェフの最強レシピ 

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◆映画:恋するシェフの最強レシピ


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3月10日(土)より、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
http://hark3.com/chef/

 

 


<映画紹介>
愛情を込めて料理を作ることの
大切さに気付かせてくれるグルメな映画

 

世界のホテルを買収してチェーン展開する実業家の御曹司と、ホテルのレストランで働く見習シェフの若い女の子が恋に落ちるロマンチック・コメディです。御曹司を演じるのは金城武。見習シェフを演じるのは、中国の巨匠であるチャン・イーモウ監督に豊かな表情を見初められて女優デビューしたチョウ・ドンユイ。監督もプロデューサーも香港人なのに、舞台が上海で言語も広東語ではなく北京語というのは、香港好きとしては少々残念ではありますが、料理好きな人にぜひ観ていただきたい作品です。

 

 

 

父からホテル買収の仕事を任されて上海にやってきたルー・ジン。狙いを付けた老舗のホテルを評価するために、ルームサービスで様々な料理を運ばせます。でもそこには一流の料理を食べつくした舌の肥えたルーを納得させられる料理はなく、ルーはすべての料理を一口食べただけで下げさせました。そしてこれはもうお手上げとなったところで、ダメ元で見習いシェフのグー・シェンナンに、「お前がやってみろ」と白羽の矢が当たります。

 

 

シェンナンは自分の家に代々伝わる特別なスープをアレンジして、スパイスを利かせた独創的なパスタを作ります。するとそれがルーの琴線に触れ、これを作ったシェフの料理をもっと食べさせろと次々にリクエストを出します。その高いハードルを次々とクリアするシェフがどんな人物かを知らないまま、ルーはそのシェフが作る料理に魅了されていきます。そして、その料理を作ったのが見習シェフの若い女性だと知ると、料理への熱い思いが恋心へと変わるのでした。

 

 

 

ロマンチック・コメディですから、ストーリーはざっくり言うとこんな感じです。駆け出しのシェフが何を作っても口うるさいグルメな金持ちを魅了させるなんて、「現実はそんなに甘くないでしょ」て気持ちにもなりますが、でも、料理の撮り方がじつにうまくて、観ているといつの間にかスクリーンに引き込まれてしまいます。

 

 

傲慢なルーのおかげで、観客も様々な料理を拝むことができるのですが、そのすべてがとっても美味しそうです。詳しい情報は不明なものの、料理はCMなどを手掛ける料理専門のカメラマンが撮影しているのではないかと思われます。また、料理そのものも素晴らしく、胃袋がグーグーと叫び声をあげそうになります。それもそのはず、登場する料理は上海の高級フレンチレストラン「コキーユ シーフード レストラン」のシェフが作ったもの。このレストランは2014年にオープンした新しい店ながら、すでに何度も様々な媒体で上海のベストラストランとして選ばれていて、ミシュランにも認定されている実力店です。

 

 

 

美食家のルーは、あまりにも鋭い味覚を持っているがゆえに、不味い料理には耐えられないという嫌味な人間でありながら、じつはインスタントラーメンが大好き。仕事で世界を飛び回るときには、スーツケースに沢山の出前一丁を入れて持ち歩いています。そして、眠れない夜には、秒単位でタイミングにだわって作った最高の出前一丁を食べて癒される、というちょっと変わった習性を持っているのでした。

 

 

これまたなんともイージーな設定ではありますが、この出前一丁の作り方があまりにも具体的で、ぜひルーがやる通りに作って食べてみたいという衝動に駆られます。その作り方は、プロデューサーのピーター・チャンのパートナーの女性が開発したもので、実際にそのように作って食べているのだとか。日本でもメーカーが推奨する倍の時間をかけて作る「10分どん兵衛」や、電子レンジで加熱する「レンチンどん兵衛」、湯ではなく水で作る「水どん兵衛」などがうまいと話題になっているので、この「恋するシェフの出前一丁」もありかも、と思います。なにしろ106分間の映画の中に、この独自レシピの出前一丁が3回も登場しますから、よほど自信があるのでしょう。

 

 

 

さて、そんな出前一丁ですが、誕生して今年で50周年を迎えました。香港では日本国内以上に人気で、広東語の「チョッチンヤッテン」という名前で広く親しまれています。わざわざ実在する出前一丁を使うところに、香港生まれだというデレク・ホイ監督の「出前一丁」への愛が感じられます。ちなみに、インスタントラーメンのことを香港では「公仔麺/ゴンチャイミン」と呼びますが、これは出前一丁の袋に描かれている出前坊やのキャラ(公仔/ゴンチャイ)に由来しています。それくらい出前一丁が広く浸透して愛されているということ。

 

 

 

香港によく行く方にはお馴染みだと思いますが、香港の飲食店やホテルのルームサービスでも出前一丁を出すところがたくさんあります。出前一丁の麺だけを使ってオリジナルの麺料理を出す店も少なくありません。ほかにも様々なインスタントラーメンがあるのに「出前一丁」がダントツ人気で、数年前の調査では香港のインスタントラーメンのシェアの半分以上を占めていたそうです。その人気は中国本土にも波及していて、この映画の舞台となっている上海でも爆発的に売れています。そのため、日清は香港に工場を作って中国向けの製品を現地生産しているのだとか。

 

 

 

映画の話に戻りましょう。この映画には、料理についての語るいくつかの素敵な言葉があります。そのひとつが「料理は心の暗証番号を解く鍵よ」。すごい言葉だと思います。美味しいものを食べて感動するのは、心の扉を開いてくれるからなのでしょう。そう思うと、大切な人のために作る料理は一食一食が真剣勝負。忙しいからといって、手抜きをしていちゃいけないんだと気づかされます。


 

 

 「料理人と客の間には料理の数だけ縁がある。この一瞬だけでも覚えていてほしい」。愛情を込めて料理を作るというのはこういうことなのだと、この言葉に知らされます。食べる側としては、作る人の思いを酌んでしっかりと味わって食べないといけないんですよね。出されたものを何も考えずに食べることが、いかに無神経で失礼なことか。スマホをいじりながら食べるなんて、言語道断ということです。家庭でも店でも、食事をするときは心して食べないといけません。

 

 

 

もうひとつ、ションナンの「料理は独占する手段ではなく、心の交流よ」という言葉が刺さります。料理は作る人と食べる人のコミュニケーションだということ。お互いに思いやる気持ちを持っていれば、料理が会話のように関係を深めてくれるのです。だから、どんな簡単な料理であっても心を込めて作ることが大切なんだと、改めて思わされます。

 

 

 

名言はほかにいくつも散りばめられています。コメディだけど、じつは料理に対する深淵なる思いが詰め込まれた心の温まる映画です。じっくりと味わってご覧ください。

 

 

最後に、ルーが作る出前一丁のレシピを紹介しましょう。まず鍋でたっぷりの湯を沸騰させます。そこに出前一丁の麺を入れてぴったり3分間茹でます。時間になったら麺をすくって湯を切り、どんぶりに入れます。そこに添付の粉末スープの素とオイルを加えて混ぜ合わせてから、別途沸かしておいた湯を注ぎ入れます。湯の量は袋に書かれている分量の8割。湯を注いだら、フタをして3分待って完成。時間を正確に守ることと、麺を茹でた湯とは別にスープ用の湯を用意することがポイントです。

 

 

 

監督:デレク・ホイ
出演:金城武、チョウ・ドンユィ、リン・チーリン、スン・イージョウ、トニー・ヤン
製作:2017年 香港・中国 106分

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